事例編 ケース27 第三章(全5章)
◎キーワード:借主の感情を理解する事が、スタートライン。
私は、賃貸経営がスムーズにいくように、借主のAさんに対する気持ちのズレについて、1つ1つ理解出来るように噛み砕いて話し続けて来ました。
しかし、Aさんにはそれがどうしても理解出来ず、一から十迄を全て把握しようと(これは賃貸経営を一生懸命に取り組もうというある種のあらわれだと思うのですが・・・)必死だったのだと思います。そして 徐々にですが、借主に対してのオーナー側の“強い”考えと主張が出て来てしまったのです。
別に言葉で露骨に二代目のAさんが、いろいろな事を借主に言い放った訳ではありません。しかし、先代とは微妙に違う対応が随所で見られました。
100人のオーナー様がいれば、100通りの賃貸経営の方法が生まれます。つまり、それぞれのオーナー様にはオーナー様の立場や考え方があるのです。
しかし…賃貸経営においての「顧客」への考え方は、お金を払ってくれる借主の立場や考え方も理解していかなければ、やはりその経営(賃貸経営)は成りたたないのです。
それはいつもお話ししている…土地・建物を賃貸することは、別の言い方をすれば人と人の「感情」で行われることだからです。残念ながら今ではとても困った状況です。
ご両親もAさんを別のところに引越しをさせて、オーナー業とは違った別の仕事をさせようとしている状態になってしまいました。ご両親からは、もう一度当社と共に、従来の賃貸経営に戻したいという意向が強くなって、私に息子であるAさんにそのことを説得してくれるように話しがありました。
借主は、管理会社である私達に対しての印象は悪くは無いと思います。最近では、いろいろな事情を相談してくることもあるし、今では借主の親族の不動産相談とかの話しも持ちかけられるようになりました。
しかし、借主からは二代目のAさんに対しての話題に限って言えば、「オーナーへの悪口」ばかりが出てくるようになってしまったのです。
このAさんと借主との微妙な意思疎通のズレ…ここには やはり私自身においても少し問題があったことを ここで皆様にお話しなければなりません。
そして、これからお話しすることは、全ては私の反省です。社長としての私の反省です。
Aさんは、借主だけでなく管理会社の担当者(社員達)にも同じような気持ちにさせてしまいました。デフレスパイラルならぬ、オーナーに対する負の感情のスパイラルです…。
元々は、私がひょんなことからAさんとお付き合いがあったことで、現在に至ってきました。
私自身も、Aさんの言動や行動に対しては長いお付き合いの中で“仕方ないなぁ~”という気持ちが幾度と無くありましたが、それは批判的なモノではなくて、軽い気持ちから発するものでした。せいぜい自分のことで例えるならば、軽い失敗をしてしまった時のように、“寝坊してしまった!”とか“駅で走ったのに電車に乗り遅れてしまった!”程度の“仕方ないなぁ~”というモノでした。だから気持ちのズレというモノは、特に大きくは無かったと言えます。しかし…担当者(社員達)は違ったのです。
このことについては、追って(第五章で)お話しいたします。
CASE 27 二代目オーナーの苦悩と勘違い 第三章
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