CASE 20 借地人さんと地主さんのなが~い戦い!

業務実例 ケース20
20年前の訴訟…また勃発か?
大手ハウスメーカー営業担当者からの相談。複雑な交渉依頼。
◎キーワード:「地主さん!借地権で貸している土地は不良資産ですよ。だって微々たる地代を貰っていても使えない土地なんだから…。」

★背景・状況
これは、私がもともとは売買営業を経験してきていることを知っている大手ハウスメーカー担当者からのお話…。
以前に自宅を建てたお客様が、借地として貸している土地の期間満了が3年を切ったので、この機会に借地権と底地権の権利を解消したいという相談でした。定期借地権ではあるまいし、これはなかなか手強い話しになることも予想されましたが、ここはやはりかねてより取引の深い大手ハウスメーカーさんからの話しなので、とりあえず、地主さんの話しだけは聞くことにしました。 場所は、大手ハウスメーカーの会議室…地主さんの娘さん夫婦とハウスメーカ ーの担当者、そして私の4人でその話しのスタートです。

 


★取り組み

場所は東京・東部地区。土地面積は約124坪。契約期間20年で、期間満了迄残存期間2年10ヶ月。聞けば前回の更新時に借地人さんと地主さん間で弁護士を立ててかなりの争いをしたとのこと。最初に大手ハウスメーカーの会議室でお会いした時には何冊もの当時の資料が、ドンとテーブルの上に・・・・。いやはや、これはかなり手強いぞ!というのが率直な感想。地主さんの娘さん夫婦は、もう以前のような争いにはしたくないという気持ちはあるが、出来ることならば、借地関係を解消したいというのが本音でした。

そこで、まず借地関係を解消する方法について・・・・
①地主さんの権利を借地人さんへ売却。
②借地人さんの権利を地主さんへ売却。
③借地人さんの権利と地主さんの権利を第三者へ売却。⇒同時売買。
④借地人さんの権利の一部と地主さんの権利の一部を交換。⇒どちらも所有権にする。

これらの4つについて説明をしました。地主さんの娘さん夫婦としては、上記の④が一番の希望であることが話しをして分かってきました。が…しかし、交換するには十分な庭先があるとか、道路との接道が十分にあるならば可能ですが、当該地においては約124坪の土地の上に昔ながらの立派な自宅と共同住宅(賃貸アパート)が建っていて、とても簡単に分割出来る状況ではありません。

しかし、あの手この手といろいろ考えて(机上ではいろいろ考えることが出来るので)、多少無理(いや、かなりの無理だったか!?!?!?)はあるものの、ある方法を提案しました。説明すると長くなるので、ここでは説明を省きますが・・・・(*^。^*) もし、ご興味のある方はお会いした時にでもお話致します。
…ということで、最初は地主さんの意向を把握した上で、借地人さんとの話し合いに臨んだのでした。
当初、借地人さんは〝ハートフルレント?いったい・・・どこの何者だい?〟という感じで対応されていましたが、じっくりと話を進めていくうちにやがて心を開いてくださって、いろいろな事情を話してくれたのです。おそらく借地人さんにはそれ相応の苦しさや悔しさがきっとあったのでしょう…。どちらの言い分もそれなりには十分に理解出来るものでしたが、この場合どちらにもメリットをもたらさないとこの手の話しは解決出来ません。借地人さんは戦前からこの地で生き抜いてきたから前記の②と③は全くのノー。④については、3回訪問して私も説明を続けてきたので、理屈は理解してもらいましたが、やはりノー。①については、約124坪ということで底地権を購入するにはやはり総額が張るけれども、それが一番イイということになりました。地主さんにも、借地人さんの意思が固いことや、裁判という事態になった時のリスクも考え、微々たる地代をもらっていても活用出来ない土地であることを打破することで、底地を売却して新たに別の不動産への買い替えの方向で決着。勿論のこと、底地権の価格算定についても公平を期した形にしたかったので、不動産鑑定を行って価格算定をしました。(費用はお互いの折半で合意してもらいました。)

★流れ

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