CASE 19 世界情勢や上場会社の動向に惑わされた賃貸経営は大切なものを見失う。

秘訣編 vol.19
キーワード:賃貸経営は「オンリーワンのエリア戦略」が成功の秘訣です。

〝賃貸経営〟は文字通り「経営」と言うくらいなので、入居者ニーズや心理、そして短期・中期・長期と先を見据えた動きをする必要があります。建物が有れば借り手はいくらでもいるとか、黙っていても賃料が入ってくるものでは無いのはご承知の通りです。
賃貸経営を円滑に行うために、新聞や経済誌を読んだり、時に新聞記者や経済誌の編集をしていたような著名な講師のセミナーに参加したりして情報収集を行うことは、世の中の大きな流れを理解する上でとても大切だと私も思います。しかし、ここで注意しなければいけないことは、情報を収集しているはずが、情報に飲み込まれてしまい、世界規模や日本規模、または上場企業の戦略や取り組みなどと、自分の賃貸経営をまったく同じ視点で捉えてしまう事です。

日本のバブルが崩壊した時、消費が冷え込み、巷では激安ショップが多く登場しました。住宅業界においては「ローコスト住宅」が注目を浴び、大手ハウスメーカーも価格の安い(原価の安い)商品を打ち出し、積極的に販売を行いました。その流れを真似するかのように、地域の工務店も価格競争に勝つためにフランチャイズに加盟したりして「ローコスト住宅」に取り組んでいきました。その結果、世の中の大きな流れに惑わされた地域の工務店は、利幅が減少し、その余裕の無さからか一番大切なニーズの把握やお客様への満足感の提供という事を怠り、さらに一度ローコストに取り組んだ事で、付加価値の無い「安かろう悪かろう」企業体質を創り上げてしまい、次々に経営難に陥った事は私の記憶にも新しいところです。

このように「体力」も「規模」も「事情」も違う事を忘れてしまい、大手の動きや論法の真似をして、自ら首を絞めてしまうケースも少なくありません。賃貸経営も世の中の流れを把握することはとても大切なことですが、もっと大切なことは、その流れを踏まえた上で「自分の体力や事情にあった取り組み」を行うことだと私は思います。

賃貸経営において、まずはその賃貸物件と地域性についてのニーズに最も注意を払うことが大切なことです。その基本を忘れてしまい、世の中の大きな流れに惑わされることでマネゴトの賃貸経営になり、オーナー様自身が先行きのイメージができない不安定な経営へとつながってきます。

まずはオーナーとしての守備範囲を明確にして、『その地域の動向』と『現在の賃借人の満足度』のことを考えてみる。そしてそこに最大の注意を払うことだけで、今後の経営の方向性や取り組み方などが霧が晴れたように見えてくるはずです。

賃貸経営は「オンリーワンのエリア戦略」が成功の秘訣です。

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