CASE 18 賃借人になるべく顔を合わさないオーナーは経営上手。その2

秘訣編 vol.18
◎キーワード:賃借人の事情に巻き込まれない経営環境作り

Vol-17では、「賃借人の感情に余計な波風を立てない気配りをもつ」というお話しでしたが、今回はもう一つ別の理由があるお話しです。

仮に「オーナー様」と「賃借人・・・」この両者がいつもいつも日常的に会う機会があり、必要以上にコミュニケーションがとれているとしましょう。この場合、お互いに経済的に問題もなく好調な時、ましてや時代の波が右肩上がりの時は問題は全く起こらないものです。しかし、このバランスが少しでも崩れた時を想定してみて下さい。
例えば、賃借人がリストラされた場合や、何らかの事情により賃借人の経済状態が悪化したとします。そんな状況になった場合、賃料は賃借人にとって、収入の割合からすると大きな比重を占める支払いですので、まず賃料支払いがままならなくなります。そこで、賃借人とオーナー様である皆様が必要以上に仲良しであるならば、何でも相談に乗ってくれそうな皆様に、賃料の支払いを待って欲しいと言ってくることもあり得ます。待って欲しいと面と向かってくるならまだイイほうですが、一般的には何も言わずに賃料をストップさせてきます。


こんな場面になったとき、オーナー様である皆様も日常的に関わりを持っていたことによって、賃借人の気持ちが痛い程わかってしまい、賃料支払いを強く言うことが出来なくなってしまうのが一般的な展開です。これがヒトというモノだと思います。
賃借人の甘えや、それを許してしまうオーナー様側の甘えが、「賃貸経営」としては大きな障害となってきます。
オーナー様の心中とすれば、賃借人の気持ちもわかってあげたいし、出来ることなら協力してあげたい。しかし、賃料滞納によって自分の経営に悪影響を与える問題は回避しなくてはいけない・・・といった問題の板挟みになり、金銭的な問題だけでなく、精神的にも決して良いことではありませんよね。なんとなく寂しい話ではありますが、これはあくまでも「賃貸経営」として見た場合の考え方です。

賃貸経営を優先するか、昭和の良き時代のように賃借人とのコミュニケーションを大切にするか、どちらなのかを様々なリスクを想定し、オーナー様自身しっかりと明確にしておくことが大切だと私は思います。

賃貸経営において「賃借人の事情に巻き込まれない経営環境作り」が成功の秘訣です。

カテゴリー: 会員用マネジメント・リポート パーマリンク