CASE 30 それは1本の電話から・・・

事例編 ケース30
◎キーワード:誰にでも何処にでもあり得る話(決して他人事ではありません)。

“○○駅前の派出所の小林(仮名)です・・・○○区△△の□□マンションの106室の方の件ですが・・・実は 新聞配達の方から今 連絡があって、どうやら様子がおかしいようなので、鍵を持って来てくれませんか?” ・・・

という突然の電話から始まったのです。
電話を受けて それが誰でどういう方かすぐに頭に浮かびました。
年齢65歳・・・男性1人暮らし・・・連帯保証人は甥・・・賃貸借契約後5年経過・・・名前は◎◎さん・・・確か 最近迄警備会社に勤めていたが、今年の3月末に退職して 今は無職・・・賃料の支払い状況は極めて良好・・・これが私が瞬時に思ったことでした。
どうやら、新聞の配達員が集金に行ったらしいが、集合ポストに昨日の朝刊から入ったまま・・・いつもは家にいる方だったので何となく変だと思ったので近くの交番に通報したらしい。
高齢ということで当社ではすぐに鍵を持って現地(○○駅前の派出所)へ向かいました。同時に事務所からは連帯保証人である甥の自宅と勤務先に連絡をしましたが、不在・・・。
現地(○○駅前の派出所)に着くとパトカーに乗って現地へ急行。既に現地には8人程の警察官がエントランスにて待機・・・“これは 大事になってきたぞ。本当に何かあったら大変だ・・・。”という気持ちになってきました。
玄関のチャイムを鳴らすも返答は無い・・・そこで裏手(1階居室なので南側)に回って大きな声で名前を呼ぶも返答無し・・・警察官もいることだし、自分は決して不審者ではないと自分に言い聞かせて、塀を飛び越え その部屋の前にどうやら侵入成功。
窓を叩くがやはり応答無し・・・。
建物の横に回って窓を叩き耳を澄ますと中からテレビの音がかすかに聞こえてきます。
更に窓をドンドン叩いて大きな声で名前を呼ぶとかすかなうめき声?のようなモノが聞こえてくる・・・(いったい何が起きているのだろうか?大丈夫なのか?)。
これは一大事だ!!!・・・ということで、玄関に戻って鍵を開けて中に入ったら、ベッドの下に落ちた状態で入居者が眼をパチクリさせて横になっていました。

それからの対応は 警察はさすがに素早いモノでした。
事件性が無かったことと本人の意識がしっかりしていたので救急車にて病院に搬送。その間も「ハートフルレント」の事務所では連帯保証人に幾度と無く連絡をとり、何とか本人の甥の方と話が出来ました。
本人によると昨日の午後にベッドから落ちてしまい腰を打って動けなくなってしまったとのこと。その後 入院をして10日程で退院しました。
しかし、当社としてはここで大きな課題が残ったのでした。
積極的に高齢者の方を入居促進してきましたが、やはり生身の人間です・・・。いつ何が起きるか分かりません・・・それは年齢には関係ありませんが、やはり一定の年齢を過ぎてくると 多少は不自由な体の箇所も出て来るモノだと思います。
賃貸経営というと若い単身者(学生か 勤め始めの社会人)か せいぜい幼い子供1人位のファミリー・・・というのは昭和の時代の「住宅双六」の考え方・・・とは言っても やはりまだまだそういう方々(購入前の仮の賃貸住まい)を対象にしている物件が多いのが事実です。
ここ7~8年で60歳以上の方々を積極的に受け入れようという動きも出て来ましたが、まだまだハード面もソフト面も追いつかずに元々若い学生をターゲットにしていた単身者向けの物件に高齢の方々を受け入れるようになってきました。
今回のケースもその1つでした。
以前に、ハード面での改修はしていなくても、その方の入居時(更新時)の体調によっての(当社独自の)判断から、70歳以上の方に夜9時に自宅からのワンコールの着信をしてもらうという「居所確認」をしてきたこともありましたが、今回のこの方は元気そのもの(更新時に契約内容の確認があったり その後も何度と無く℡にて話をしてきたこたもあったり)と言うこともあったので全くのノーマークでした。
これからの賃貸のあり方について考えたケースでした。
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