CASE 22 アパート・マンション満室経営の緊急時の対応

秘訣編 ケース22
◎キーワード:「入居促進対策」と「解約防止対策」の両輪戦略

今の時代における私達のやるべきことの最重要課題は「空室対策」・「入居率アップ」・「解約阻止」です。「ハートフルレント」設立前の私は、地域のプライスリーダー(市場価格の設定・変更の操作をなし得る指導的企業になろう)つまり、市場操作の出来る企業になろうという強気な発言をしていた時代があったのを覚えています。業界で言えば“賃料をむやみに下げるのではなく、何か空室対策を打つべきだ!!”と言っていたのです。でもその当時と今とでは少しばかり時代が違います。商品力や販売促進力だけでは解決出来ない大きな市場背景が加わり、理屈では解決できない時代になっていることはご承知の通りです。特に一番の問題は「解約率が非常に高い」ということです。最近の賃借人の声に耳を傾けると、
——–“収入が減って今までの賃料が支払えない…。”
——–“経費削減で事務所経費を下げたい…。”
とか理由はいろいろあります。

今までは問題点や課題として「貸す側の事情や意識改革」で改善や促進を可能にする事が出来ましたが、昨今では「賃借人の事情」的理由が多い事で商品力向上や募集方法の改善だけでは解決しない時代になってしまったのです。

◎現在の賃貸経営課題の大きな柱として以前からの課題の2項目
① 募集の方法をもっと研究し、効果性の高い募集をしよう。
② ニーズを把握してリフォーム・リメイクを施して商品価値を高めていこう。…に加えて、
③ 賃貸条件の適正化
④ テナントリテンション(現在の賃借人の保持)
の合計4項目が必要になってきました。

③については、当社の管理受託物件で次のような例があります。物件Tは鉄筋コンクリート造の3階建て、ワンルーム13室プラス駐車場2台の賃貸物件です。ある時3室がほぼ同じ時期に空室となり、元々の賃貸条件は面積の広い1室が9万円、2室が8万円でした。(今までの賃料は、3室総額で25万円の賃貸収入でした。)しかし、現在の状況は様々な観点から判断して1万円引きが妥当成約賃料と当社では判断しました。(現実に見込める3室の賃貸収入合計は22万円、これまでとは月々3万円の減収となります。)オーナー様は“入居者が入らなければゼロだよね、だったら22万円

でも賃料をもらっていた方がイイよね。!”と素早く決断。賃貸条件の見直し後、程なくしてこの3室は成約となりました。総額25万円の賃料に拘っていては毎月の22万円の賃料増加をみすみす逃すことになりかねません。賃料を下げてもとにかく入居者を決める…これも厳しい時代の経営判断の一つではないかと考えます。

④についても事例を一つご紹介します。ある月曜日の朝に大手法人にお勤めの女性入居者Kさんより“洗面の排水の流れが悪い。詰まっています。”という連絡が入りました。よく聞けば、“ここ数日(土・日)で急に逆流してくる…とにかくあふれて流れない…。”ということでした。この物件は1階にオーナー様の会社があり、それより上階(2階・3階部分)が賃貸マンションとなっています。オーナー様へ連絡をして状況の説明をし、水周りの専門業者への手配依頼の承諾をもらいました。こういう緊急時は、一度当社が現場を見てなどという流暢な対応は致しません。当社が見ても結局は専門業者の手配が必要です。ならば、入居者の「気持ち」を尊重して、まずは時間との戦い…いかに早く対応してあげるか…です。原因が何であれ、まずは修理対応をしてあげるというスタンスで臨むことが重要です。勿論ですが、もし入居者が何かを詰まらせたということが原因であるならば、公平なジャッジのもとで入居者に費用を負担してもらうことになります。このことは、電話を受けた時にキチンと賃借人にお話ししておきます。間違っても2度も確認作業に部屋に入る(特にこの場合は働く女性の1人暮らし)ことは、極力避けなければなりません。緊急時においては、オーナー様だろうと管理会社の社員であろうと入室することはある程度仕方ないとは思っていますが、今回のような排水が急に逆流してくる・・・あふれて流れない・・・・ということでは安易にそれはしてはいけません。こういう状況では、入居者の意向も聞きつつ、一番早い方法で対処します。そうしないと、後々までも入居者のオーナー様に対する心の中のモヤモヤを残してしまいます。 こういった一つ一つの出来事に対して、細心の注意を払って取り組むことで、 「賃借人の事情」以外での解約の多くは防ぐことができるのです。

★最後にもう一度!

1.募集の方法をもっと研究し、効果性の高い募集をする→成約アップ。
2.ニーズを把握してリフォーム・リメイクを施して商品価値を高める→成約アップ。
3.賃貸条件の適正化→成約アップ・解約阻止4.テナントリテンション(現在の賃借人の保持)→解約阻止 です。

 

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